メール&Excel式管理の限界

私は超零細派遣企業に勤めています。どうでもいいですが、自分の会社が派遣業とし
て登録されていることを最近知りました。情弱にもほどがありますな。

メインもなにも、派遣/出向しかやることがないため、社内の管理なんてものはない
ですし、社内開発なんてものも存在しません。ですので、タイトルにある管理は、今
まで派遣/出向してきた現場で経験したものです。

ところで、今まで経験した派遣/出向のほとんどが違法状態なのはどうかと思います。
本当に違法かどうかはちゃんと調べないと分かりませんが、間に5社も6社も挟まって、
その人がいったいどこの人なのか分からなくなるくらいなのは問題でしょう。

話がそれました。この業界(IT業界、というよりかはSI業界?)に身を置く方ならば、
ほとんどの人が

  • Excel方眼紙で作る役に立たない詳細設計書
  • Wordで作る役に立たない詳細設計書
  • PowerPointで作る以下同上
  • 某社独自のワープロソフトで作られた設計書をExcel方眼紙に移す作業
  • 修正箇所をコメントで残す最悪なコード管理
  • SCMが存在しないとっても非効率なソースコード管理

・・・などを一度は経験しておられることでしょう。ちなみに↑に挙げたのは、一応
全て経験したものです。SCMとかは提言してみたこともありますが、にべもなく断ら
れたので、もはや諦観の領域に達していたのを覚えています。さすがに人ベースでCV
Sをやり始めたのには閉口しましたが・・・あれは最悪ですNE。

さて、上記に含まなかったもので、誰もが一度は経験している・現在進行形でやって
いるのが、

Excelベースでの進捗管理
Excelベースでの課題管理
メールオンリーの進捗報告・連絡

だと思います。私は残念ながらウォーターフォール型の現場にしかいたことがないの
で、今までの現場の全てで↑を経験しました。まぁどんな害悪があるのか、などは私
が語るまでもなく、いろいろなところで語られていますので、私見を書き散らかした
いと思います。別名愚痴とも言いますが。

Excelベース管理の問題

個人的には、Excelベースでの管理はある一定の規模・ペースまでなら、お手軽管理
としては有効なんじゃまいかなー、とは思っています。ある程度の規模がどれくらい
かというと、個人的には全体で数人、というのが限度じゃないかと思います。

いろいろな方法を見てきましたが、結論としてはExcel
進捗管理をやるのは愚」
という結論に至っています。だって成功してると
ころ見たことないっすもん。

じゃあ何が問題か、ということを考えると、ぱっと思いつくのは以下じゃないかと思
います。

言われた瞬間からこの教師の話は話半分で聞くようになりました

    • それはともかく、セルに文章を詰め込むのは、調整しなきゃならない場所が増え

たりするので面倒になり、結局書かなくなる、というのがあると思います。少なくと
も一つのセルに十行とか書き込まれてると、Excelのセル単位移動の限界から、一ペー
ジ当たりの情報量が格段に少なくなって、本来課題管理に必要な一覧性がひどく損な
われます。

んどできません。独自のVBAが入ってたりするとそれ以外での利用が不可能ですし、
管理がめっちゃ煩雑です。

  • 入力制限の問題
    • 基本的に、Excelはどのセルも弄ることができます。一部セルだけに限定する技が

あるのかもしれませんが・・・。とにかく、だれか一人がレイアウトをがっつり変え
たりすると、そのあと戻したりするのが不可能になったりする場合があります。

  • 数式の問題
    • 作業時間とかを計算するような数式が入っていて、予期せぬ編集がされた場合、

計算結果がぐちゃぐちゃになるうえに、復元するのにめちゃめちゃしんどい思いをす
ることがあります。

他にももろもろ問題があるかと思いますが、一番の問題は、どんなものを使っていて
もこれが一番対処に困る問題になると思いますが、

「入力がめんどいから入力しなくなる」

これだと思います。まぁこれは何にでも当てはまるとは思いますが、Excel方眼紙で
作られたこのたぐいのものは特にこの傾向が強いと思います。一覧性がどんどん悪く
なるなっていくのと正比例するように、入力頻度もどんどん下がっていきますし、入
力する労力がどんどん増えていきます。

管理する件数が10件とかその程度なら、まぁなんとでもなるでしょうが、これで管
理しているものが50とか100とかになると、管理するだけで時間が無駄に過ぎてしま
います。実際、このたぐいの編集だけで多大な時間を取られ、毎日残業がデフォルト
になっている管理の立場の人がどの現場にもいました。ん?現場自体が残業デフォル
トじゃないのかって?それはこの業界では言わないお約束です。

メールオンリーの弊害

どこに行ってもメールオンリー(一部IP Messenger併用)の連絡・報告をしています
が、これもある一定の規模を超えると管理ができなくなるんじゃないかと思います。
私が経験したMAXは、一日300件くらいのメール(そのうち関係があるのは10%にも満
たない)でした。

私は個人的な慣習として、「未読メールは残さない」というスタンスを取っているの
と、ほとんど内容がないメールは一瞬だけ目を通す、ということをやっていましたの
で、それだけあっても何とか閲覧していましたが、他の人はそんなこともなく、極端
な人だと10000件の未読がたまっている人とかいました。

こんだけメールが飛び交うようになるとどうなるか。当然ですが、メールが埋もれて
見逃しが起こります。重要なものでも、どうでもいいものに埋もれればそんなもの見
えなくなります。そうなると、そのメールに書いてある内容の確認だけで時間が取ら
れ(そういうメールに限って大事な仕様確認だったり)、作業する時間が減っていく、
減っていくとまたメールの確認がおざなりになるので・・・という無限ループにはま
ります。

で、そういうことになるとこれも悪名高い「重要」とか「至急」を付けるようになる
んですが、これもまた皆様おわかりの通り、最初は本当に至急とか重要だったものに
だけ付けられていたのが、どんどん範囲を拡張して、「自分にとって至急」とか「と
りあえず重要」とかそんなのにまで付いていきます。受ける側からすると、重要とか
至急とか来たものについて、優先度を割り振ることが困難になります。そりゃnice値
が1だけのタスクばっかだったら、結局優先順位なんて決まりませんね。

後、「返信の返信が途中で切れて流れが追えなくなる」というのもあります。メール
ベースの連絡だと、返信の返信が積み重なって、わりと重要な資料的価値を持つ場合
がありますが、これがうまくいかずにぶった切れると、なんでそうなったかがさっぱ
りわからず、それを確認するところからスタートする場合があります。これまた時間
の無駄になります。

とりあえず、メールベースのやり取りでは

  • 件数が多くなるとノイズも多くなる
  • 優先度の付け方が二元的になって意味をなさなくなる
  • メールベースで議論を始めると怖い

などの問題があることを見てきました。見るだけじゃなくて巻き込まれたことも多々
ありますが。

現代的な管理って?

ある現場に行ったとき、redmineを使う機会がありました。私自身、tracは何度か利
用したことがありますが、redmineは初めてでした。しかし「チケット駆動開発」な
どの言葉は聞いたことがあり、基本的にどんなものかは知っていましたので、まぁあ
まり問題なく利用できました。

基本的にExcelで管理していることは、「どんな内容で」「期限がいつまでで」「ど
れくらいの時間がかかるか」というものが「どれだけあるのか」というものだと思い
ます。これって、redmineとかtracとかのチケットそのものじゃないかと思うわけで
す。

わざわざExcelで整理しなくても、とりあえずチケットとして登録しておけば、クエ
リで並べたりその結果を別フォーマットで出力して、Excelで本来の使い方であるグ
ラフにしたり、とかもできます。また、粒度がチケットに限定され、レイアウトとか
も気にしなくていいので、入力すべき部分に注力できます。

また、基本的にこれらはWebベースなので、ネットワークにつながっていれば閲覧も
編集もできますので、わざわざ共有にしたExcelを置いておく必要なんてのもありま
せん。別途サーバーが必要ですが、今時ならExcelで管理することの煩雑さと比較す
れば、ローカルネットワーク用のサーバー一台を管理するほうがずっと容易でしょう。

こう考えると、少なくとも私の当たってきたケースにおいては、チケットベースでの
管理というのがよりbetterな手法に思えます。編集領域が貧弱なのはあまり変わりま
せんが、入力すべき項目が明確であれば、別途エディタで作成して書き込むだのなん
だりすればいいわけですし。

実際にこういう管理をされてるところもあるのでしょうし、少なくともExcel方眼紙
との戦いから離れられるというだけでも私的には十分です。もうExcel方眼紙はいい
よ・・・。

メールベースについては・・・

進捗とか課題とかの、「明確な対応範囲がある」ものについては、チケット管理が今
のところ非常に有力だとは思いますが、一方の全体的な連絡手段であるメールについ
てはあまりいい方法が思い浮かびません。

メールで送られてくるものは色々あり、仕様連絡であったり業務連絡であったり個人
的に関係ない話であったり、となかなかカテゴライズもできません。また、資料的価
値というか、言った言わないを証明する為に利用される場合もあるので、会話の流れ
とかを記録できないとなりません。

メールにおける一番の問題が、「埋もれる」と「無意味な優先度」だと思います。こ
れをどうするか、というのについてはまだいろんな場所でいろんな試みがなされてい
ると思いますので、思いつかない私としてはそれが固まるまではこれに耐えるしかな
いのかねぇ、と考えてしまいます。

そういえばサイボウズとかを導入して「メールがほとんどなくなった!」とかの宣伝
文句を見たこともありますが、どういう形態で連絡を取り合うようにしているのかが
非常に気になります。なんか全体に連絡がいくようなチャットみたいなやつでやり取
りでもしてるんでしょうか。範囲はもちろん絞れるとは思いますが。